調査コラム

企業サービスの調査コラム

第三者の評価とはなにか

コラム 2022/10/31

■現代は匿名社会・・・?
企業サービスの創業者は2005年から続くそのブログ(https://www.ks110.com/hm/boyaki)の中で、とにかく匿名社会になることの弊害に強く警鐘を鳴らし続けてきた。戸籍住民票の原則公開から、非公開になった時期にあたってはそれこそこの世の終わりであるかの如く、嘘のつき放題、詐欺師のやりたい放題の無茶苦茶な世の中になってしまうと嘆いていた。

今2022年。
創業者の強く懸念した世間は、ただ少し当初の想定とは違っている。
嘘のつき放題、匿名社会で誰が誰なのかも何も分からない世の中になっているかと現代の人に聞くと、きっとそうではないと答えるだろう。

その反証としてまず挙げられるのがSNSの普及。SNSが浸透し、個人が自分の何でもない生活を不特定多数にさらすようになっている。芸能人がファンの数を増やす感覚で、特別な才能や技能がなくとも、誰でも何気ない日常や感覚、感想、自作の詩や小説を投稿している。

ただしそれは大きく分ければ、以下の2パターンになるのではないか。
1, 完全匿名で本音をさらす
2, 実名で薄いベールをかぶる

1に代表されるのが誹謗中傷の書き込み。
2は、「日常」の投稿。
SNS=あなたそのもの、と思われがちだが、ことそれを自分自身に置き換えてみたとき、あなたそのものというよりはこう見られたい、こう思われたいというものの表象であることが大半だとわかるだろう。その人となりがわかるようで、決してその人を捉えるものではない。

■他人の目
匿名社会の到来により「嘘が付き放題、詐欺の仕放題」になると懸念したのは、そこに「他人の目」の不在があるように思われる。
「他人の目」とはSNSのフォロワーなどによる「その人が見せたがっている表象を知っている」人のことではなく、例えば職場の同僚や上司、同級生、近所の人といった「お互いに知り合いである第三者視点」だ。
「ああ、あの〇〇さんでしょ。大人しい人ですよ」とか「結構今の上司には気に入られているけど、敵も多い人だよね」とか。あまり正直聞きたくない言葉もあるだろう。

しかし、この第三者視点は社会で生きていく上で、事実厳然として眼の前にあるものなのであり、それが評価や評判と言われるものである。それを「本当の私ではない」「そんなものは偏見である」と言う際の「本当の私」とは何なのか。
「強がっているけど実は寂しがり屋の裏返しで、本当は気の弱いところがあるだけの優しい人なんです」とか「今の上司とは合わないから、あんな反発してるけど、いい上司にさえ巡り合えば結構切れ者なんですよ」とか、そういうことを周囲に言ってほしい場合、あなたはどんな行動をとればそう言ってもらえるようになるのか。
強気な発言をした後に、気分を害したであろう人にその真意を改めて伝えてフォローするとか、直属の上司ではないが社内で人望のある人に信頼してもらえるような人間関係を築くとかだと思うが、果たしてそのようなことがどれほどの人が出来ていることであろうか。親兄弟ですら、当人が何を考えているのかわからないのに、表層ではなくあなたの「実は」「本当は」を語ってくれる人がいるほうがおかしな話である。

■世間とは
「他人の目」を正しく受け止められない人が増えると、妄想の世界であなたの語ってほしい形での「本当は」「実は」のみが、あなたにとっての「正しい第三者評価」であり、世間は「間違っている」と思うようになる。そしてそのうち「嘘」をついているという感覚と、「それは本当の私ではない」という感覚が混じり合って、自分も他人も受け止められなくなってくるように思われる。

バックグラウンドチェックという仕事は、現代日本の企業と応募者での面談という「密室空間」に、第三者という異物の視点を敢えて投げ込むものである。
そうやっても壊れないものを実像とよび、第三者の登場で脆くも崩れ去るものを虚像という。それが世間というものであると思っている。

株式会社企業サービスーバックグラウンドチェック43年の実績
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